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研究会

MMS研究会 共同研究成果

MMS研究会は,環境変異原の検出のためのメカニズム解明と哺乳動物を用いる試験方法の確立・検証等を目的とした多くの共同研究を実施し,特に小核試験に関しては,国内ガイドライン策定のみならず,ICH及びOECDのガイドラインに,その成果が大きく寄与し,欧米の研究者のみならず日米欧の行政当局にも大きな影響力を与えるようになりました.

【共同研究の実績】

MMS研究会の実施してきた共同研究の一覧を下記に示します.

  1. 小核試験プロトコールの比較検討
  2. 小核試験におけるマウスの性差に関する研究
  3. 小核試験におけるマウスの系統差に関する研究
  4. 小核試験におけるマウスの投与経路差の研究 (ip vs po)
  5. 小核試験におけるマウスの投与回数の研究
  6. 小核試験におけるAO 超生体染色法の検証
  7. IARC モノグラフ掲載の発ガン物質と小核試験の相関
  8. 小核試験におけるマウスのエイジングの影響 (spontaneous MN)
  9. 小核試験におけるマウスのエイジングの影響 (induced MN)
  10. ラットを用いる末梢血小核試験
  11. トランスジェニック動物での遺伝毒性試験の検証 (MutaMouse)
  12. 造血系細胞以外を用いた小核試験の開発と検証(肝、腸、皮膚、生殖器官)
  13. 遺伝毒性試験のリスク評価
  14. 4週間反復投与小核試験
  15. Toxicogenomics
  16. 遺伝毒性試験におけるIn vitro- in vivo 結果と発がん性試験結果との相関性
  17. MLAの染色体異常誘発性の検証
  18. ヒト細胞を用いた試験の開発と検証
  19. Comet Assay の検証 国際共同研究の実施
  20. 成熟ラットを用いた反復投与肝臓小核試験法の検討
  21. Pig-aアッセイ
  22. In silico関連
  23. 変異原の閾値に関する共同研究

 

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1.小核試験プロトコールの比較検討

 

■代表世話人(現会員)

島田 弘康

 

■研究成果概要

MMS研究会の最初の活動として各国等のガイドラインにおける小核試験のプロトコールを比較検討した.日本, OECD, TSCA, ICPEMC, UKEMS等を比較し,MMS研究会としての標準プロトコールを作成するのが狙いであった.ただ,色々な要素が試験結果に影響を与えるであろうことが判明し,MMSの共同研究が始まる礎となった.

 

■代表論文

1) 哺乳動物試験系研究会: 小核試験-ガイドラインの比較検討と標準プロトコールの提案(その1)-トキシコロジーフォーラム,1984, 7, 564-568.

2) 哺乳動物試験系研究会: 小核試験-ガイドラインの比較検討と標準プロトコールの提案(その2)-トキシコロジーフォーラム,1984, 7, 648-654.

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2.小核試験におけるマウスの性差に関する研究

 

■代表世話人(現会員)

林 真

 

■研究成果概要

最初の共同研究のテーマが性差に関するものであった.結果は定量的には性差を示す化学物質はあるが,定性的に結果が逆転するものは無かった.また,体重より体表面積を基準とする方が性差は少なかった.この結果は,小核試験では片性を使うことで十分評価可能であることとなり,その後のガイドライン改正等で取り入れられた.

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test. Sex difference in the micronucleus test. Mutat Res. 1986; 172: 151-163.

 

共同研究2.6.の業績に関するReview Paper

Sutou S. Achievements by CSGMT/JEMS.MMS: The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test in the Mammalian Mutagenesis Study Group of the Environmental Mutagen Society of Japan. Mutat Res. 1996 Jun;340(2-3):151-74.

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3.小核試験におけるマウスの系統差に関する研究 レポート

 

■代表世話人(現会員)

須藤 鎮世

 

■研究成果概要

スイスのネスレで開発された変異原に高感受性のマウスMSが,当時の国立衛試石館基部長によって我が国に持ち込まれたこともあり,ddY, CD-1, BDF1, MSを用いてモデル化合物を用いて小核誘発性を比較した.系統間で定量的な差は認められたが,定性的な差は認められず,ガイドライン的にはどの系統も用いることが出来ると結論した.

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test. Strain difference in the micronucleus test. Mutat Res. 1988 Feb; 204(2): 307-316.

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4.小核試験におけるマウスの投与経路差の研究 (ip vs po) レポート

 

■代表世話人(現会員)

林 真

 

■研究成果概要

投与経路の差は当時小核試験では一般的であったipと実際の暴露経路に近いpoに絞って比較検討がなされた.これまでと同様に定量的な差は認められたが,定性的な差は認められなかった.また,LD50に対する割合で比較すると,定量的な差も小さくなった.近年,十分な暴露のためにip投与の知見が要求される場合が認められたが,2017年のIWGTの議論の結果,適切な理由がない限り,ヒトで妥当な暴露経路(po投与など)を用いるべきとされた.

 

■代表論文

Hayashi M, Sutou S, Shimada H, Sato S, Sasaki YF, Wakata A. Difference between intraperitoneal and oral gavage application in the micronucleus test. The 3rd collaborative study by CSGMT/JEMS.MMS. Collaborative Study Group for the Micronucleus Test/Mammalian Mutagenesis Study Group of the Environmental Mutagen Society of Japan. Mutat Res. 1989 Aug; 223(4): 329-44.

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5.小核試験におけるマウスの投与回数の研究 レポート

 

■代表世話人(現会員)

森田 健

 

■研究成果概要

投与回数の差を評価するのは要因が多く試験デザインを確定するのに苦労した.当時広く用いられていたSchmidらの2回投与し,2回目の投与から6時間後に標本を作製する手法と,2回目の投与から24時間後に標本を作製する手法を中心に比較検討した.結果は24時間後の方が安定したデータが得られることが分かり,現在では、単回投与後複数時点の標本作製あるいは複数回投与後24時間での標本作製が多くのガイドラインで採用されている.

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test, the Mammalian Mutagenesis Study Group of the Environmental Mutagen Society, Japan (CSGMT/JEMS.MMS).  Single versus multiple dosing in the micronucleus test: the summary of the fourth collaborative study by CSGMT/JEMS.MMS. Mutat Res. 1990 Jun-Aug;234(3-4):205-222.

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6.小核試験におけるAO 超生体染色法の検証 レポート

 

■代表世話人(現会員)

林 真

 

■研究成果概要

Hayashiらによって開発されたアクリジンオレンジを用いる超生体染色を用いる小核試験の性能を検証した.試験の手法が簡単であることもあり,期待どおりの結果が,安定していられた.また,標本作製時期も験体投与後48時間でほとんどの化学物質の小核誘発性を検出することが出来た.

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test.  Micronucleus test with mouse peripheral blood erythrocytes by acridine orange supravital staining: the summary report of the 5th collaborative study by CSGMT/JEMS.MMS. Mutat Res. 1992 Feb-Mar;278(2-3):83-98.

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7.IARC モノグラフ掲載の発ガン物質と小核試験の相関 レポート

 

■代表世話人(現会員)

森田 健

 

■研究成果概要

この共同研究も海外のラボを巻き込んだ大規模なものとなり,論文作成までに多くの時間を要した.IARCでグループ1, 2A, 2Bに分類された化合物で入手可能なものを探し,104種類の被験物質について小核試験を実施し,試験法自体の性能を求めた.がん原性の判っている被験物質のみの検討であったので,検出力は評価できても精度等は対象外となった.ただし,小核試験の感度は低いと言われていた頃であり,ここで高い検出力を示せたことは小核試験に取って大きな意義があるものと考えることが出来る.また,化学物質の特性によって検出しやすいものと,検出が難しいもののあることも判明した.

 

■代表論文

Morita T, Asano N, Awogi T, Sasaki YF, Sato S, Shimada H, Sutou S, Suzuki T, Wakata A, Sofuni T, Hayashi M. Evaluation of the rodent micronucleus assay in the screening of IARC carcinogens (groups 1, 2A and 2B) the summary report of the 6th collaborative study by CSGMT/JEMS MMS. Collaborative Study of the Micronucleus Group Test. Mammalian Mutagenicity Study Group. Mutat Res. 1997 Feb 28;389(1):3-122. Erratum in: Mutation Res., 391 (1997) 259-267.

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8.小核試験におけるマウスのエイジングの影響 (spontaneous MN)

 

■代表世話人(現会員)

佐藤 精一、中嶋 圓

 

■研究成果概要

アクリジンオレンジ超生体染色法の導入により,実験動物を殺すことなく小核の頻度を計測することが可能となり,小核試験における実験動物の至適週齢を求めるために,9系統のマウスを用い月に1度採血し,経時的な変化を追求した.最初の共同研究では事前発生の小核を有する赤血球の頻度を観察するため,化学物質による処理は行わなかった.動物が自然死し始めるまで(約15月)小核を有する赤血球の出現頻度に大きな変化はなかった.ただ,一部の系統では動物が死亡する時点において出現頻度の上昇が認められた.以上より小核試験にもちいる動物の週齢は試験結果にほとんど影響しないことが判明した.

 

■代表論文

Sato S, Taketomi M, Nakajima M, Kitazawa M, Shimada H, Itoh S, Igarashi M, Higashikuni N, Sutou S, Sasaki YF, Hayashi Ma, Sofuni T, Higashiguchi T, Nito S, Kondo Y, Honda S, Hayashi Mi, Shinagawa Y, Nakajima E, Oka Y, Shimoi K, Hokabe Y, Morita A, Kinae N, Takeuchi M, Hirono H, Yamamura E, Tamai K. Effect of aging on spontaneous micronucleus frequencies in peripheral blood of nine mouse strains: the results of the 7th collaborative study organized by CSGMT/JEMS.MMS. Collaborative Study Group for the Micronucleus Test. Environmental Mutagen Society of Japan. Mammalian Mutagenesis Study Group. Mutat Res. 1995 Oct;338(1-6):51-57. Erratum in: Mutat Res 1996 May;316(5-6):287-8.

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9.小核試験におけるマウスのエイジングの影響 (induced MN)

 

■代表世話人(現会員)

濱田 修一

 

■研究成果概要

マウスのエイジング2回目の共同研究として,MMC 0.5 mg/kg1か月に1回,1か月齢から18か月齢まで投与し,その48時間後に末梢血を採取して,マウスの週齢が被験物質投与時の小核誘発性にどの程度影響するかを検討した.

その結果,加齢によるMMC投与後の小核誘発率への影響は見られなかった.同時に実施した病理組織学的検査により,マウスでは18か月齢においても骨髄における脂肪変性や造血機能の低下が極めて軽度であることが判明し,これがマウス小核試験が加齢の影響を受けにくい原因の1つであると考えられた.以後の研究でラットでは加齢により小核誘発物質に対する感度が低下することが判明したが,ラットの骨髄では加齢により顕著な脂肪変性,造血機能低下がみられた.

 

■代表論文

Hamada S, Namiki C, Hashimoto A, Kukita K, Effect of aging on mouse micronucleus test results: A report of 8th collaborative study organized by the CSGMT/JEMS.MMS, MMS Commun. 4(2) (1996) 121-131.

 

業績に関するReview Paper

Sutou S. Achievements by CSGMT/JEMS.MMS: The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test in the Mammalian Mutagenesis Study Group of the Environmental Mutagen Society of Japan. Mutat Res. 1996 Jun;340(2-3):151-74.

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10.ラットを用いる末梢血小核試験

 

■代表世話人(現会員)

若田 明裕

 

■研究成果概要

化学物質の毒性を評価する動物実験においては,ラットが主として用いられている.一方小核試験において末梢血を用いる場合は,ラットの脾臓が小核を有する赤血球を効率よく末梢血から排除することもあり,マウスが用いられていた.化学物質のハザードを多角的に評価するには,同じ種を用いて総合的に評価,解釈することが求められる.ラットの末梢血を用いてどの程度化学物質の小核誘発性を評価できるかの共同研究を行った.結果は,被験物質投与後48時間で標本を作製することによりマウスと同等の検出感度を得られることが判明した.脾臓で排除されるまでの小核を有する赤血球を観察できているものと考えられた.

 

■代表論文

Wakata A, Miyamae Y, Sato S, Suzuki T, Morita T, Asano N, Awogi T, Kondo K, Hayashi M. Evaluation of the rat micronucleus test with bone marrow and peripheral blood: summary of the 9th collaborative study by CSGMT/JEMS. MMS. Collaborative Study Group for the Micronucleus Test. Environmental Mutagen Society of Japan. Mammalian Mutagenicity Study Group. Environ Mol Mutagen. 1998;32(1):84-100.

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11.トランスジェニック動物での遺伝毒性試験の検証 (MutaMouse) レポート

 

■代表世話人(現会員)

鈴木 孝昌(伊東 悟)

 

■研究成果概要

lacZを標的遺伝子とするMutaMouseを用いたin vivo突然変異試験に関する共同研究を行った。第1回の共同研究として、26機関が参加しENUの臓器特異的な変異原性に関して8臓器で検討した。第2回の共同研究として、5つの化合物を用い、同様に臓器特異的な突然変異誘発を調べるとともに、末梢血を用いる小核試験を用いて染色体異常誘発性を同時に評価した。成果は化合物ごとに個別論文とし、サマリーペパーと一緒にMutation Research誌に掲載した。

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test.  Organ variation in the mutagenicity of ethylnitrosourea in MutaMNMouse: Results of collaborative study by JEMS.MMS. Mutat Res. 1996 28: 363-375.

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12.造血系細胞以外を用いた小核試験の開発と検証(肝、腸、皮膚、生殖器官) レポート

 

■代表世話人(現会員)

高沢 博修

 

■研究成果概要

ラット・マウスから皮膚組織をトリプシン処理と物理的細胞剥離の方法を用いることによる細胞分離を可能とし、3日間投与による皮膚小核試験を開発した。標準的な赤血球系細胞を使用する小核試験では検出できない染色体異常誘発性を有する皮膚を標的とするがん原性物質の検出が可能となった。

幼若ラットにおける自然な肝細胞分裂を利用する肝臓小核試験を開発することにより、標準的な赤血球系細胞を使用する小核試験では検出できない染色体異常誘発性を有する肝臓を標的とするがん原性物質の検出が可能となり、実験方法を最適化した。また、肝傷害性を有するが肝発がんを誘発しない物質による偽陽性を示すことなく遺伝毒性肝がん原性物質を効果的に検出可能である。

マウスに結腸がん原性物質を4日間投与し、結腸上皮細胞を分離することにより小核を有する細胞の有意な増加が確認された。

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13.遺伝毒性試験のリスク評価

該当なし(論文なし)

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14.4週間反復投与小核試験 レポート

 

■代表世話人(現会員)

濱田 修一

 

■研究成果概要

国際共同研究の結果,16化合物中14化合物が反復投与により,一般毒性用量でも小核を誘発することが確認され,小核試験の一般毒性試験への統合の可能性が示された.一方,反復投与により急激に致死毒性が増す2化合物(反復投与可能な用量は短期投与の10%以下)は反復投与小核試験で陰性となり,このような化合物は組込みには不向きであることが分かった.これらの研究成果は第2回遺伝毒性に関する国際ワークショップ(2nd IWGT)でトピックスとして取り上げられ,後にICH S2(R1)ガイドラインにもin vivo試験を取り入れながら動物福祉に配慮できる手法として評価され,組み込まれた.

 

■代表論文

Hamada S, Sutou S, Morita T, Wakata A, Asanami S, Hosoya S, Ozawa S, Kondo K, Nakajima M, Shimada H, Osawa K, Kondo Y, Asano N, Sato S, Tamura H, Yajima N, Marshall R, Moore C, Blakey DH, Schechtman LM, Weaver JL, Torous DK, Proudlock R, Ito S, Namiki C, Hayashi M. Evaluation of the rodent micronucleus assay by a 28-day treatment protocol: Summary of the 13th Collaborative Study by the Collaborative Study Group for the Micronucleus Test (CSGMT)/Environmental Mutagen Society of Japan (JEMS)-Mammalian Mutagenicity Study Group (MMS). Environ Mol Mutagen. 2001; 37(2): 93-110.

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15.Toxicogenomics レポート

 

■代表世話人(現会員)

降旗 千恵(鈴木 孝昌)

 

■研究成果概要

DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析"toxicogenomics"により遺伝子傷害性発がん物質を予測するための検討を行った。8つの遺伝子傷害性肝発がん物質、4つの非遺伝子傷害性肝発がん物質、及び1つの非遺伝傷害性非肝発がん物質を用いた検討により、100個の遺伝子よりマーカー候補遺伝子を絞り込み、30の遺伝子による主成分分析(PCA)により、遺伝子傷害性の有無を区別することに成功した。さらにラットを用いた定量PCR(qPCR)PCA解析により、遺伝子傷害性肝発がん物質をそれ以外と区別することができた。

 

■代表論文

Furihata C, Watanabe T, Suzuki T, Hamada S, Nakajima M. Collaborative studies in toxicogenomics in rodent liver in JEMS・MMS; a useful application of principal component analysis on toxicogenomics. Genes Environ. 2016 Aug 1; 38:15.

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16.遺伝毒性試験におけるIn vitro- in vivo 結果と発がん性試験結果との相関性

 

■代表世話人(現会員)

森田 健

 

■研究成果概要

Kirklandらによるin vitro遺伝毒性試験の検出性比較(CGX DB)を受け,in vivo小核試験(MN)とトランスジェニック突然変異試験(TG)の発がん物質検出性を評価した.CGX DBの齧歯類発がん物質と非発がん物質について,MNおよびTGの知見を収集し,それぞれの感受性・特異性を明らかにした.また,in vitro試験との組合わせによる検出性も評価し,Amesin vivo MNを組合せは,in vitro試験同士の組合せよりも感受性は低かったが,特異性は高いことが判明した.

 

■代表論文

Morita T, Hamada S, Masumura K, Wakata A, Maniwa J, Takasawa H, Yasunaga K, Hashizume T, Honma M. Evaluation of the sensitivity and specificity of in vivo erythrocyte micronucleus and transgenic rodent gene mutation tests to detect rodent carcinogens. Mutat Res Genet Toxicol Environ Mutagen. 2016 May; 802: 1-29.

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17.MLAの染色体異常誘発性の検証

 

■代表世話人(現会員)

本間 正充

 

■研究成果概要

ICH-S2ガイドラインのコアバッテリーにマウスリンフォーマ試験(MLA)が染色体異常試験(CA)の代替として利用可能かどうかのバリデーション研究を行った。国内外52機関が40化学物質についてMLAを実施し、CAと比較した。その結果、CA陽性34化合物の内、MLAで陽性を示したものは20化合物であった。MLAで陰性を示した14化合物の多くは異数性誘発物質であったため、これらの物質に関しては24時間処理を行い、再検討を行った。その結果、11物質が陽性を示した。この結果からMLA24時間試験を導入することにより、CAの代替なり得ると結論した。この研究の成果は、ICH-S2(R1)OECD-TG490ガイドラインの制定に貢献した。

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18.ヒト細胞を用いた試験の開発と検証

 

■代表世話人(現会員)

本間 正充

 

■研究成果概要

ヒトTK6細胞と、そのp53変異株WTK-1を用いて、主として、エームス試験陰性、染色体異常試験・MLA陽性を示す14種の化学物質について、TK突然変異試験、小核試験を実施した。小核試験の結果は、TK6WTK-1とも陽性を示し、大きな差は認められなかったが、TK突然変異試験では、異数性誘発物質等の非変異原性物質が陰性を示した。このことは、TK6細胞によるTK 突然変異試験をバッテリー試験に利用することにより偽陽性を減らすことができることを示している。本研究の成果は、OECDガイドラインにおけるin vitro試験でのヒト細胞、p53正常細胞の利用の推奨、TG490ガイドラインの策定に貢献した。

 

■代表論文

Honma M, Hayashi M. Comparison of in vitro micronucleus and gene mutation assay results for p53-competent versus p53-deficient human lymphoblastoid cells. Environ Mol Mutagen. 2011 Jun; 52(5): 373-384.

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19.Comet Assay の検証 国際共同研究の実施 レポート

 

■代表世話人(現会員)

宇野 芳文

 

■研究成果概要

In vivoげっ歯類アルカリコメットアッセイの国際バリデーション研究が2006年にJaCVAM主導で開始され,MMS研究会も協力した.種々の検討を経て標準化されたプロトコールと,それを用いて7か国14機関で40種類の被験物質を盲検下で評価した際の良好な成績は,OECDテストガイドラインTG48920149月発行)の制定に大きく貢献した.

 

■代表論文

Nakajima M, Ueda M, Yamakage K, Nakagawa Y, Nakagawa M, Ohyama W, Omori T, Asano N, Hayashi M, Uno Y. Tissue sample preparation for in vivo rodent alkaline comet assay. Genes Environ. 2012; 34: 50-54.

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20.成熟ラットを用いた反復投与肝臓及び消化管小核試験法の検討 レポート

 

■代表世話人(現会員)

濱田 修一

 

■研究成果概要

国際共同研究の結果,16化合物中14化合物が反復投与により,一般毒性用量でも小核を誘発することが確認され,小核試験の一般毒性試験への統合の可能性が示された.一方,反復投与により急激に致死毒性が増す2化合物(反復投与可能な用量は短期投与の10%以下)は反復投与小核試験で陰性となり,このような化合物は組込みには不向きであることが分かった.これらの研究成果は第2回遺伝毒性に関する国際ワークショップ(2nd IWGT)でトピックスとして取り上げられ,後にICH S2(R1)ガイドラインにもin vivo試験を取り入れながら動物福祉に配慮できる手法として評価され,組み込まれた.

 

■代表論文

Hamada S, Ohyama W, Takashima R, Shimada K, Matsumoto K, Kawakami S, Uno F, Sui H, Shimada Y, Imamura T, Matsumura S, Sanada H, Inoue K, Muto S, Ogawa I, Hayashi A, Takayanagi T, Ogiwara Y, Maeda A, Okada E, Terashima Y, Takasawa H, Narumi K, Wako Y, Kawasako K, Sano M, Ohashi N, Morita T, Kojima H, Honma M, Hayashi M. Evaluation of the repeated-dose liver and gastrointestinal tract micronucleus assays with 22 chemicals using young adult rats: summary of the collaborative study by the Collaborative Study Group for the Micronucleus Test (CSGMT)/The Japanese Environmental Mutagen Society (JEMS) - Mammalian Mutagenicity Study Group (MMS). Mutat Res Genet Toxicol Environ Mutagen. 2015 Mar; 780-781: 2-17.

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21.Pig-aアッセイ レポート

 

■代表世話人(現会員)

堀端 克良(木本 崇文)

 

■研究成果概要

試験法の技術共有化は国立衛研が中心となり,合計16機関が参画した.まず全赤血球を標的としたPig-aアッセイ及びPIGRET法について参加機関での試験機関差検証を行い,十分な技術共有化が達成できていることを確認した.続いて日本で開発されたPIGRET法の有用性について検証した.実際に遺伝毒性物質・非遺伝毒性物質からなる24化合物についてラットに単回投与した後,経日的に末梢血を採取してPig-a変異体頻度を評価した結果,PIGRET法は全赤血球を標的としたPig-aアッセイよりも早期にPig-a変異頻度の増加を検出可能であることを立証した.以上の検討成果はMutation Research誌(Volume 811, 15 November 2016)にMMS研究会によるPig-aアッセイ/ PIGRET法に関する特集号として収載されている.Pig-aアッセイについては現在OECD試験ガイドライン化に向けた取り組みが米国を中心に進められている.試験ガイドライン化にあたっては本共同研究成果も大きく寄与しており,MMS研究会会員からワーキンググループにも参画中である.

 

■代表論文

Kimoto T, Horibata K, Miura D, Chikura S, Okada Y, Ukai A, Itoh S, Nakayama S, Sanada H, Koyama N, Muto S, Uno Y, Yamamoto M, Suzuki Y, Fukuda T, Goto K, Wada K, Kyoya T, Shigano M, Takasawa H, Hamada S, Adachi H, Uematsu Y, Tsutsumi E, Hori H, Kikuzuki R, Ogiwara Y, Yoshida I, Maeda A, Narumi K, Fujiishi Y, Morita T, Yamada M, Honma M. The PIGRET assay, a method for measuring Pig-a gene mutation in reticulocytes, is reliable as a short-term in vivo genotoxicity test: Summary of the MMS/JEMS-collaborative study across 16 laboratories using 24 chemicals. Mutat Res. 2016 Nov 15; 811: 3-15.

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22.In silico関連

本間 正充

 

■研究成果概要

Kirklandらによるin vitro遺伝毒性試験データベースにCGX DBin vivo小核試験(MN)とトランスジェニック突然変異試験(TG)のデータを加えたデータベースを完成させた(Morita et al., 2016)。これをQSARベンダーである英国・ラーサ社と、ブルガリア・ブルガス大学に提供した。ラーサ社はこのデータベースからin vivo小核試験予測のための構造アラートの開発を行った。また、ブルガス大学は、化学物質の発がん性をin vitroからin vivoまでの試験データを基に、パイプライン方式で評価するインテグレーテッドアプローチを開発した。

 

■代表論文

1) Canipa S, Cayley A, Drewe WC, Williams RV, Hamada S, Hirose A, Honma M, Morita T. Using in vitro structural alerts for chromosome damage to predict in vivo activity and direct future testing, Mutagenesis, 1-9, 2015.

2) Petko I. Petkov, Terry W. Schultz, E. Maria Donner, Masamitsu Honma, Takeshi Morita, Shuichi Hamada, AkihiroWakata, Masayuki Mishima, Jiro Maniwa, Milen Todorov, Elena Kaloyanova, Stefan Kotov, Ovanes G. Mekenyan, Integrated Approach to Testing and Assessment for Predicting Rodent Genotoxic Carcinogenicity, Journal of Applied Toxicology, 32, 1536-1550, 2016.

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変異機構研究会

本研究会は、変異誘発の分子機構を理解することを目的に、様々な研究分野の方に参加していただき、変異や発がんの機構を勉強する研究会です。毎年夏に1泊2日で行われています。日本環境変異原ゲノム学会の若手の会「夏の学校」として位置づけられております。参加者の年代は80歳代の名誉教授から20歳代前半の学生まで、非常に幅広いことが特徴です。参加する学生にとっては、第一線の研究者による最新の研究内容に触れ、臆することなく質問をすることができる機会となっており、それ以外の参加者も含めて、特別講演、一般講演(話題提供)に対して、気取ることなく自由な雰囲気で活発に討論が繰り広げられています。夕食後には、再度討論の場が設けられ、密度の濃い2日間となっています。

本研究会は、平成17年度まで「変異・発癌抑制機構研究会」として活動してきました。しかし変異・発癌抑制の研究にとどまらず、幅広い分野から多くの参加者を募る目的を込めて、平成18年度から、研究会の名称を「変異機構研究会」と変更しました。

下記に示すこれまでの活動内容をご覧になれば、対象となる分野が実に幅広いことがおわかりかと思います。是非、参加してみませんか。お待ちしています。


世話人:赤沼三恵、伊吹裕子、勝崎裕隆、川西優喜、倉岡功、笹谷めぐみ、椎崎一宏、中村宜督、鳴海一成、布柴達男、平津圭一郎、増田雄司、八木孝司、山田雅巳



2025年度 第36回「夏の学校」 開催準備中
2025年9月6日(土) 〜9月7日(日)
於:大学セミナーハウス
〒192-0372東京都八王子市下柚木1987-1

詳細は2025年5月頃決定予定です。


2024年度 第35回夏の学校
2024年9月7日(土) 〜9月8日(日)
於:淡輪ハウス(たんのわハウス)
(大阪府泉南郡岬町)

特別講演:
秋山昌広 先生(奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科)
「大腸菌のDNA複製の研究 −留学生・共同研究者・NGSとの出会いを回顧して− 」
喜納克仁 先生(徳島文理大学理工学部ナノ物質工学科)
「核酸損傷の化学」

特別企画(JEMS連携企画)
「企業研究者に聞く!」
今中崇博 先生(武田薬品工業株式会社)
児玉篤史 先生(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)
企業研究者と研究職志望者の情報交換会

詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。



2023年度 第34回「夏の学校」
2023年9月9日(土) 〜9月10日(日)
於:大学セミナーハウス
〒192-0372東京都八王子市下柚木1987-1

特別講演:
北村智 先生(量子科学技術研究開発機構)
 「量子ビームが誘発する植物ゲノム変異の検出〜M1ゲノム解析から見えてきたもの」
佐々彰 先生(千葉大学)
 「難治性炎症疾患を誘発するゲノム不安定化の分子機構」

特別企画(JEMS連携企画)
「企業研究者に聞く!」
 岡田恵美子 先生((株)ヤクルト本社)、岡田祐樹 先生(帝人ファーマ(株))
企業研究者と研究職志望者の情報交換会
詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。




2022年度 第33回「夏の学校」【オンライン】
2022年9月10日(土)10時〜17時(延長で17:30)、オンライン(Zoom)で開催しました。
今回は、はじめての企画として、学生・若手向けに企業研究者(JEMS会員)による企業研究についての発表セッションと、交流の時間を設けました。また例年どおり一般発表(今回は9演題)もおこないました。参加登録者71名、素晴らしいご発表と活発な討論、情報交換がありました。ご参加のみなさまに感謝いたします。

特別講演
山岸明彦 先生(東京薬科大学)
 「宇宙での生命の起源と探査」
三浦夏子 先生(大阪公立大学)
 「低酸素条件下で形成される代謝酵素集合体―細胞内の新たな代謝調節機構?」

特別企画(JEMS連携企画)
「企業研究者に聞く!」
参加企業:中外製薬(株)、日本たばこ産業(株)、サントリーホールディングス(株)
連携企画: 企業研究者と研究職志望者の情報交換会(ブレークアウトルーム利用)

一般講演・参加者交流会

詳細は、こちらのpdfファイルをご覧ください。




【中止】2021年度「夏の学校」
COVID-19の状況に鑑み、2021年9月11日(土) 〜9月12日(日)(於 八王子市大学セミナーハウス) に予定しておりました「夏の学校」は開催を取りやめます。

【中止】2020年度「夏の学校」
COVID-19の状況に鑑み、2020年9月12日(土) 〜9月13日(日)(於 八王子市大学セミナーハウス) に予定しておりました「夏の学校」は開催 を取りやめます。

第32回夏の学校
2019年9月7日(土) 〜9月8日(日)
於:大学セミナーハウス
〒192-0372東京都八王子市下柚木1987-1

特別講演:
中村純 先生(大阪府立大学)
 「内因性アルデヒド:DNAメタボリズムからメタボリックシンドロームまで」
紙谷浩之 先生(広島大学)
 「DNA損傷による遠隔作用変異誘発と人工ヌクレアーゼを用いないゲノム編集法の開発」
吉原亮平 先生(埼玉大学)
 「カビや植物で見られるDNA修復が関わる生命現象の解析」

詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。




第31回夏の学校
平成30年9月8日(土) 〜9月9日(日)
於:あうる京北(京都府立ゼミナールハウス)
〒601-0533 京都市右京区京北下中町鳥谷2
特別講演:
藤堂剛 先生(大阪大学)
 「光と生命〜光回復酵素・クリプトクロームファミリーを例に生物の環境への適応戦略を考える〜」
岩瀬哲 先生(理化学研究所)
 「植物の再生を司る分子メカニズム
   〜カルス形成は遺伝的多様性を生み出す機構!?〜」
芝井厚 先生(理化学研究所)
 「大腸菌の長期紫外線照射下における変異蓄積と人工進化」

※詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。




第30回夏の学校
平成29年9月2日(土) 〜9月3日(日)
於:あうる京北(京都府立ゼミナールハウス)
〒601-0533 京都市右京区京北下中町鳥谷2
特別講演:
塩井(青木)成留実 先生(福岡大学)
 「毒ヘビは自己の毒に対して備えを持っている
   〜特異的突然変異で獲得してきた毒素とその阻害蛋白質の多様性について〜」
渡辺賢二 先生(静岡県立大学)
 「腸内細菌叢を起源とする遺伝毒性物質コリバクチンの化学構造解析」
赤松憲 先生(量子科学技術研究開発機構)
 「修復困難な"クラスターDNA損傷"の探求
   〜フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を利用して〜」
※詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。



第29回夏の学校
平成28年9月10日(土)13時 〜9月11日(日)11時
於:あうる京北(京都府立ゼミナールハウス)
〒601-0533 京都市右京区京北下中町鳥谷2
特別講演(五十音順):
井倉毅先生(京都大学放射線生物研究センター)
    「クロマチンの動的変化に着目したゲノム損傷応答の多様性の理解」
笹谷めぐみ先生(広島大学原爆放射線医科学研究所)
    「化学発がんと放射線発がんにおける突然変異誘発機構」
松本吉博先生(中部大学応用生物学部)
    「フルオロウラシルとデオキシウリジン・アナログによる相乗的抗癌作用」
※詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。



第28回夏の学校
平成27年7月25日(土)13時 〜7月26日(日)12時
特別講演(五十音順):
河合秀彦先生(広島大学 原爆放射線医科学研究所)
    「放射線照射環境での細胞応答の解析」
大学保一先生(東北大学 学際科学フロンティア研究所)
    「DNAポリメラーゼのゲノム科学的研究」
西野達哉先生(東京理科大学 基礎工学部)
    「真核生物の染色体分配に関与するタンパク質複合体の構造と機能」
詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。
第27回夏の学校
平成26年6月21日(土)13時 〜6月22日(日)12時
特別講演(五十音順):
大野 みずき先生(九州大学大学院医学研究院 基礎放射線医学分野)
    「DNA 修復因子欠損マウス家系を用いた de novo germline mutation の解析」
岡 素雅子先生(九州大学 生体防御医学研究所 脳機能制御学分野)
    「ミトコンドリア転写因子 TFAM 発現を用いた、アルツハイマー病におけるインスリ ンシグナル破綻機構の解明」
山元 淳平先生(大阪大学大学院基礎工学研究科 物質創成専攻)
    「紫外線損傷 DNA の化学合成及びその修復反応・変異機構解析」
詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。
第26回夏の学校
平成25年6月22日(土)13時~6月23日(日)12時
特別講演:
「環境ストレスを関知するMAP キナーゼの機能と制御」
    塩崎一裕先生(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
「紫外線によるDNA 損傷とヌクレオチドプールの酸化に基づく突然変異の機構」
    能美健彦先生(医薬基盤研究所創薬支援戦略室)
「DNA 修復欠損性遺伝性疾患の責任因子の検索と分子機構の解析」
    荻 朋男先生(長崎大学原爆後障害医療研究所)
詳細については、こちらのpdfファイルをご覧ください。
第25回夏の学校
平成24年6月30日(土)13時~7月1日(日)12時
特別講演:
「アーキア(古細菌)のDNA ポリメラーゼ ~その種類と役割~」
    石野 良純先生(九州大学農学研究院生命機能科学部門)
「酵母に見出した酸化ストレスで誘導される一酸化窒素の生成と
その生理的役割」
    高木 博史先生
     (奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
「植物のストレス応答:防御システムのスケジュール管理戦略」
    溝口 剛先生(国際基督教大学教養学部アーツ・サイエンス学科)
第24回夏の学校
平成23年7月9日(土)13時~10日(日)12時
特別講演:
「ライブセルイメージングを用いた小核形成過程の解析について」
    杉本 憲治先生(大阪府立大学大学院・生命環境科学研究科)
「キメラリプレッサーを用いた植物転写因子機能解析法の開発と
突然変異研究への展望」
    平津 圭一郎先生(防衛大学校・応用科学群)
「哺乳動物細胞の核内における酸化損傷塩基の修復
―1 価性チミングリコールDNA グリコシラーゼについて」
    山本 亮平先生(大阪府立大学大学院・生命環境科学研究科)
第23回夏の学校
平成22年7月10日(土)13時~11日(日)12時
参加者:44名
特別講演:
「DNA ポリメラーゼδ改変マウス系統を利用した,突然変異蓄積の継世代影響について」
    内村 有邦先生(大阪大学大学院 生命機能研究科)
「ショウジョウバエにおけるRecQ5 DNA ヘリカーゼの機能」
    川崎 勝己先生(摂南大学・薬学部)
「酸素ラジカルに起因する自然突然変異の誘発経路の発見とその展開」
    真木 寿治先生(奈良先端科学技術大学院大学)
第22回夏の学校
平成21年6月20日(土)13時~21日(日)12時
参加者:32名
特別講演:
「メダカにおける逆遺伝学的手法の確立:
   突然変異生成機構の分子遺伝学的解析を目指して」
    石川智子先生(大阪大学・大学院医学研究科)
「蛋白質異常凝集変異源としてのD-アミノ酸と老化」
    藤井紀子先生(京都大学・原子炉実験所)
「DNA高次構造の多様性と二重鎖切断:単分子観察法による定量的解析」
    吉川祐子先生(環太平洋大学・次世代教育学部)
第21回夏の学校
平成20年6月14日(土)13時~15日(日)12時
参加者:34名
特別講演:
「極限環境微生物の異常塩基浄化機構の多様性」
    久留主泰朗先生(茨城大学・農学部)
「水、窒素酸化物、ハロゲンが関与するDNA損傷」
    鈴木利典先生(就実大学・薬学部)
「計算化学的手法を用いたKuタンパク質によるDNA二本鎖切断末端認識機構の解析」
    藤本浩文先生(国立感染症研究所・放射能管理室)
第20回夏の学校
日程:平成19年7月28日(土)~29日(日)
参加者:31名
特別講演:
「新規の内因性変異原・がん原性物質の同定とその生物活性に関する研究」
    戸塚ゆ加里先生(国立がんセンター研究所)
「DNA修復関連酵素による核酸塩基の正常と異常の識別に関する構造生物学的研究」
    山縣ゆり子先生(熊本大学・大学院医学薬学研究部)
「チェックポイント制御蛋白CHFRの抗細胞増殖活性に関する機能解析」
    福田智一先生(国立がんセンター研究所)
第19回夏の学校
平成18年7月1日(土)~2日(日)
参加者:42名
特別講演:
「電離放射線によって生じる"修復され難い"クラスターDNA損傷」
    鹿園直哉先生(日本原子力研究所・先端基礎研究センター)
「活性酸素による核酸の化学修飾と様々な生命現象」
    中別府雄作先生(九州大学・生体防御医学研究所)
「LC/MS/MS を用いたDNA 付加体の分析」
    松田知成先生(京都大学・大学院地球環境学堂)
第18回変異・発癌抑制機構研究会
平成17年7月15日(金)~16日(土)
参加者:35名
特別講演:
「Engineering Functional Changes in Escherichia coli Endonnuclease III Based on Phylogenetic and Strucural Analysis」
    渡辺貴志先生(青山学院大学理工学部)
「トランスジェニックゼブラフィッシュを用いた水環境中の変異原性モニタリング手法の開発」
    天沼喜美子先生(国立環境研究所)
第17回変異・発癌抑制機構研究会
平成16年6月26日(土)~27日(日)
特別講演:
「細胞死の阻害と発がん-紫外線、環境化学物質のアンチアポトーシス作用とそのメカニズム-」
    伊吹裕子先生(静岡県立大学・環境科学研究所)
「哺乳類の突然変異誘発の分子機構-REVタンパク質による試験管内再構成の現状」
    増田雄司先生(広島大学・原爆放射線医科学研究所)
「動物細胞核内イベントの視覚的解析」
    奥村克純先生(三重大学・生物資源学部)
第16回変異・発癌抑制機構研究会
平成15年7月12日(土)~13日(日)
特別講演:
「紫外線と細胞応答-アポトーシス誘導を中心として」
    森田明理先生(名古屋市立大学・院・医学)
「突然変異誘導機構の新しい提案-放射線による突然変異誘発はDNA損傷を生じない長寿命ラジカルによって引き起こされる」
    渡邉正己先生(長崎大・院・医歯薬学総合)
「イネの紫外線感受性はピリミジン二量体光回復酵素の変異によって導かれたのか?」
    日出間 純先生(東北大・院・生命科学)
第15回 変異・発癌抑制機構研究会
平成14年6月22日(土)~23日(日)
特別講演:
「カテキン類の化学構造と生理活性との関係」
    中山 勉先生(静岡県立大学・食品栄養科学部)
「哺乳動物細胞における細胞周期チェックポイント機構とその異常による疾患」
    中西 真先生(名古屋市立大学・大学院医学研究科)
「DNAポリメラーゼ阻害物質の探索とその分子設計、および制ガン剤としての開発」
    坂口謙吾先生(東京理科大学・理工学部・応用生物科学科)
第14回 変異・発癌抑制機構研究会
平成13年7月14日(土)~15日(日)
特別講演:
「食品因子による第二相解毒酵素の誘導とがんの化学予防」
    中村宜督先生(名古屋大学・大学院生命農学研究科 食品機能化学講座)
「化学物質の変異原性・発がん性と代謝活性化酵素:動物種差・性差」
    出川雅邦先生(静岡県大・薬学部 衛生化学講座)
「細菌逆転写酵素により合成されるmulticopy single-stranded DNA (msDNA)の機能と突然変異誘発」
    島本 整先生(広島大・生物生産学部 衛生微生物学講座)

MMS研究会

環境変異原を検出するには,科学的に検証された試験系の開発が重要であることは言うまでもありません.1970年代後半からそのメカニズムの研究と試験方法の確立と検証を目的としてきた小集団活動グループ優性致死試験研究会と小核試験研究会は,それぞれの目的を達成するために,発展的に統合し、1982年哺乳動物試験研究会(MMS研究会:Mammalian Mutagenicity Study Group)として発足いたしました.初代代表幹事には国立遺伝学研究所の土川清博士が就任され,哺乳動物を用いた変異原研究のアクティブな研究者集団として,各試験法の技術的な問題の解決,その普及などの活動を開始しました.その後,日本環境変異原学会はMMS研究会を公認分科会として承認し,その活動を支持するようになりました.

MMS研究会は設立の目的を達成するために,これまでに多くの共同研究を実施し,特に小核試験に関しては,国内ガイドライン策定のみならず,ICH及びOECDのガイドラインに,その成果が大きく寄与し,欧米の研究者のみならず日米欧の行政当局にも大きな影響力を与えるようになりました

【目的】

哺乳動物及び動物細胞を用いる各種変異原性試験について検討し、この分野の研究の発展に努めると共にヒトへの安全性評価に寄与する.

【活動】

  1. 定例研究会を年2回行う。1回はJEMS大会開催の時とし、定例会の形式は大会の組織委員会と協議する
  2. Original Dataの発表および討議
  3. 各種の情報交換
  4. その他の協議事項

その他の活動:

  1. 特定テーマについての共同研究
  2. 会員相互の研鑽のための研修会
  3. 会員または非会員対象の講習会・ワークショップ
  4. Standard Protocolの検討
  5. Mutation Research誌の賛助団体として、投稿に便宜を図る
  6. MMS News等の発行

【共同研究の実績】

MMS研究会が実施してきた共同研究の詳細はこちらです.

【国際シンポジウムの共催】

  1. 5th International Symposium on Chromosomal Aberrations
  2. 8th International Symposium on Chromosomal Aberrations

【ワークショップ・フォーラムの開催】

  1. コバンスTokyo フォーラム
  2. 染色体異常試験法ワークショップ(実技実習と講義)

【MMS研究会ホームページ】

http://www.mms-J.org

【入会の申し込み】

MMS研究会 ホームページから、小山庶務幹事(koyama.naoki21@chugai-pharm.co.jp)までご連絡をお願いいたします。

MMS研究会
会長 橋爪恒夫

日本環境変異原学会・微生物変異原性試験研究会 (JEMS/BMS)

微生物変異原性試験研究会(Bacterial Mutagenicity Study Group)は日本環境変異原学会の分科会の一つです。微生物変異原性試験とは、ネズミチフス菌を用いたAmes試験のことを指しています。この試験は1975年に発表された古典的な試験ですが、学術研究のみならず、規制当局への種々の化学物質等に関する申請に義務付けられ、現在でも汎用されています。Ames試験は多くの遺伝毒性試験の中で最も基本的な試験であり,最も多くのデータが蓄積されています。本研究会は,Ames試験が法律で義務付けられ普及が始まったころ,受託機関からの試験に関する様々な情報を共有したいという要望で,1980年代後半に立ち上げられた意見交換会としての「Ames試験連絡会」を前身としています。1995年から現在の名称になり、JEMSの分科会(研究会)として現在に至っています。2019年現在,会員数は100名余りで,その多くは化学系や製薬系の企業あるいは受託研究機関に所属しています。他の研究会よりも若い方が多い傾向にありますが,学生はいません。世代交代が随時行われています。

研究会の主な活動は以下の5つです。

(1) 定例会の開催:年2回、1回は東京近郊で7月ごろに一泊二日で、参加費を徴収して実施します。プログラムとしては、特別講演2題程度とAmes試験の精度管理試験についての報告、ICH(医薬品規制調和国際会議の略称)やOECD(欧州経済協力機構の略称)試験ガイドライン関連の情報提供などです。自由に意見を出し合う情報交換会もあります。あと1回はJEMS年次大会前日夕方にMMS研究会と並行して参加無料で実施、教育講演1題程度の内容です。定例会には非会員の方でも参加できます。

(2)Ames試験の精度管理試験(共同研究)の実施:日本で行われるAmes試験のデータの信頼性の高さはこの活動のたまものです。

(3)Ames試験に関する共同研究:様々な課題を積極的に見つけ、共同研究を通じて解決に努め、得られた研究成果はJEMSの年次大会や学会誌G&Eなどで発表することで、社会還元をしています。

(4)ウェブサイトの投稿箱:Ames試験に関する質問を受け、可能な範囲で回答しています。Q&Aとしてまとめ、公表もしています。

(5)Ames試験講習会:テキストを使った座学の講習や実技講習を会員の方からの要望に応じて実施しています。

BMS研究会は,特に若い研究者・技術者の変異原性に関しての情報交換や人的ネットワークの深耕の場として利用していただくことで、より一層発展できると思います。詳細は,BMS研究会のHome pageをご覧ください。

BMS研究会

堀端克良

研究会とは?

日本環境変異原学会の会員を中心に,環境変異原に関わる特定の研究分野に興味を持つ研究者が会して,討論や共同研究などをする小集団です.

BMS研究会
微生物を用いる変異原性試験(特にAmes試験)を中心とする研究会.
MMS研究会
哺乳動物を用いる変異原性試験を中心とする研究会.
変異機構研究会
突然変異の起こるメカニズムの研究を中心とする研究会.