MMS研究会 共同研究成果

MMS研究会は,環境変異原の検出のためのメカニズム解明と哺乳動物を用いる試験方法の確立・検証等を目的とした多くの共同研究を実施し,特に小核試験に関しては,国内ガイドライン策定のみならず,ICH及びOECDのガイドラインに,その成果が大きく寄与し,欧米の研究者のみならず日米欧の行政当局にも大きな影響力を与えるようになりました.

【共同研究の実績】

MMS研究会の実施してきた共同研究の一覧を下記に示します.

  1. 小核試験プロトコールの比較検討
  2. 小核試験におけるマウスの性差に関する研究
  3. 小核試験におけるマウスの系統差に関する研究
  4. 小核試験におけるマウスの投与経路差の研究 (ip vs po)
  5. 小核試験におけるマウスの投与回数の研究
  6. 小核試験におけるAO 超生体染色法の検証
  7. IARC モノグラフ掲載の発ガン物質と小核試験の相関
  8. 小核試験におけるマウスのエイジングの影響 (spontaneous MN)
  9. 小核試験におけるマウスのエイジングの影響 (induced MN)
  10. ラットを用いる末梢血小核試験
  11. トランスジェニック動物での遺伝毒性試験の検証 (MutaMouse)
  12. 造血系細胞以外を用いた小核試験の開発と検証(肝、腸、皮膚、生殖器官)
  13. 遺伝毒性試験のリスク評価
  14. 4週間反復投与小核試験
  15. Toxicogenomics
  16. 遺伝毒性試験におけるIn vitro- in vivo 結果と発がん性試験結果との相関性
  17. MLAの染色体異常誘発性の検証
  18. ヒト細胞を用いた試験の開発と検証
  19. Comet Assay の検証 国際共同研究の実施
  20. 成熟ラットを用いた反復投与肝臓小核試験法の検討
  21. Pig-aアッセイ
  22. In silico関連
  23. 変異原の閾値に関する共同研究

 

MMS研究会のページに戻る.

 

1.小核試験プロトコールの比較検討

 

■代表世話人(現会員)

島田 弘康

 

■研究成果概要

MMS研究会の最初の活動として各国等のガイドラインにおける小核試験のプロトコールを比較検討した.日本, OECD, TSCA, ICPEMC, UKEMS等を比較し,MMS研究会としての標準プロトコールを作成するのが狙いであった.ただ,色々な要素が試験結果に影響を与えるであろうことが判明し,MMSの共同研究が始まる礎となった.

 

■代表論文

1) 哺乳動物試験系研究会: 小核試験-ガイドラインの比較検討と標準プロトコールの提案(その1)-トキシコロジーフォーラム,1984, 7, 564-568.

2) 哺乳動物試験系研究会: 小核試験-ガイドラインの比較検討と標準プロトコールの提案(その2)-トキシコロジーフォーラム,1984, 7, 648-654.

先頭に戻る

 

2.小核試験におけるマウスの性差に関する研究

 

■代表世話人(現会員)

林 真

 

■研究成果概要

最初の共同研究のテーマが性差に関するものであった.結果は定量的には性差を示す化学物質はあるが,定性的に結果が逆転するものは無かった.また,体重より体表面積を基準とする方が性差は少なかった.この結果は,小核試験では片性を使うことで十分評価可能であることとなり,その後のガイドライン改正等で取り入れられた.

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test. Sex difference in the micronucleus test. Mutat Res. 1986; 172: 151-163.

 

共同研究2.6.の業績に関するReview Paper

Sutou S. Achievements by CSGMT/JEMS.MMS: The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test in the Mammalian Mutagenesis Study Group of the Environmental Mutagen Society of Japan. Mutat Res. 1996 Jun;340(2-3):151-74.

先頭に戻る

 

3.小核試験におけるマウスの系統差に関する研究 レポート

 

■代表世話人(現会員)

須藤 鎮世

 

■研究成果概要

スイスのネスレで開発された変異原に高感受性のマウスMSが,当時の国立衛試石館基部長によって我が国に持ち込まれたこともあり,ddY, CD-1, BDF1, MSを用いてモデル化合物を用いて小核誘発性を比較した.系統間で定量的な差は認められたが,定性的な差は認められず,ガイドライン的にはどの系統も用いることが出来ると結論した.

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test. Strain difference in the micronucleus test. Mutat Res. 1988 Feb; 204(2): 307-316.

先頭に戻る

 

4.小核試験におけるマウスの投与経路差の研究 (ip vs po) レポート

 

■代表世話人(現会員)

林 真

 

■研究成果概要

投与経路の差は当時小核試験では一般的であったipと実際の暴露経路に近いpoに絞って比較検討がなされた.これまでと同様に定量的な差は認められたが,定性的な差は認められなかった.また,LD50に対する割合で比較すると,定量的な差も小さくなった.近年,十分な暴露のためにip投与の知見が要求される場合が認められたが,2017年のIWGTの議論の結果,適切な理由がない限り,ヒトで妥当な暴露経路(po投与など)を用いるべきとされた.

 

■代表論文

Hayashi M, Sutou S, Shimada H, Sato S, Sasaki YF, Wakata A. Difference between intraperitoneal and oral gavage application in the micronucleus test. The 3rd collaborative study by CSGMT/JEMS.MMS. Collaborative Study Group for the Micronucleus Test/Mammalian Mutagenesis Study Group of the Environmental Mutagen Society of Japan. Mutat Res. 1989 Aug; 223(4): 329-44.

先頭に戻る

 

5.小核試験におけるマウスの投与回数の研究 レポート

 

■代表世話人(現会員)

森田 健

 

■研究成果概要

投与回数の差を評価するのは要因が多く試験デザインを確定するのに苦労した.当時広く用いられていたSchmidらの2回投与し,2回目の投与から6時間後に標本を作製する手法と,2回目の投与から24時間後に標本を作製する手法を中心に比較検討した.結果は24時間後の方が安定したデータが得られることが分かり,現在では、単回投与後複数時点の標本作製あるいは複数回投与後24時間での標本作製が多くのガイドラインで採用されている.

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test, the Mammalian Mutagenesis Study Group of the Environmental Mutagen Society, Japan (CSGMT/JEMS.MMS).  Single versus multiple dosing in the micronucleus test: the summary of the fourth collaborative study by CSGMT/JEMS.MMS. Mutat Res. 1990 Jun-Aug;234(3-4):205-222.

先頭に戻る

 

6.小核試験におけるAO 超生体染色法の検証 レポート

 

■代表世話人(現会員)

林 真

 

■研究成果概要

Hayashiらによって開発されたアクリジンオレンジを用いる超生体染色を用いる小核試験の性能を検証した.試験の手法が簡単であることもあり,期待どおりの結果が,安定していられた.また,標本作製時期も験体投与後48時間でほとんどの化学物質の小核誘発性を検出することが出来た.

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test.  Micronucleus test with mouse peripheral blood erythrocytes by acridine orange supravital staining: the summary report of the 5th collaborative study by CSGMT/JEMS.MMS. Mutat Res. 1992 Feb-Mar;278(2-3):83-98.

先頭に戻る

 

7.IARC モノグラフ掲載の発ガン物質と小核試験の相関 レポート

 

■代表世話人(現会員)

森田 健

 

■研究成果概要

この共同研究も海外のラボを巻き込んだ大規模なものとなり,論文作成までに多くの時間を要した.IARCでグループ1, 2A, 2Bに分類された化合物で入手可能なものを探し,104種類の被験物質について小核試験を実施し,試験法自体の性能を求めた.がん原性の判っている被験物質のみの検討であったので,検出力は評価できても精度等は対象外となった.ただし,小核試験の感度は低いと言われていた頃であり,ここで高い検出力を示せたことは小核試験に取って大きな意義があるものと考えることが出来る.また,化学物質の特性によって検出しやすいものと,検出が難しいもののあることも判明した.

 

■代表論文

Morita T, Asano N, Awogi T, Sasaki YF, Sato S, Shimada H, Sutou S, Suzuki T, Wakata A, Sofuni T, Hayashi M. Evaluation of the rodent micronucleus assay in the screening of IARC carcinogens (groups 1, 2A and 2B) the summary report of the 6th collaborative study by CSGMT/JEMS MMS. Collaborative Study of the Micronucleus Group Test. Mammalian Mutagenicity Study Group. Mutat Res. 1997 Feb 28;389(1):3-122. Erratum in: Mutation Res., 391 (1997) 259-267.

先頭に戻る

 

8.小核試験におけるマウスのエイジングの影響 (spontaneous MN)

 

■代表世話人(現会員)

中嶋 圓

 

■研究成果概要

アクリジンオレンジ超生体染色法の導入により,実験動物を殺すことなく小核の頻度を計測することが可能となり,小核試験における実験動物の至適週齢を求めるために,9系統のマウスを用い月に1度採血し,経時的な変化を追求した.最初の共同研究では事前発生の小核を有する赤血球の頻度を観察するため,化学物質による処理は行わなかった.動物が自然死し始めるまで(約15月)小核を有する赤血球の出現頻度に大きな変化はなかった.ただ,一部の系統では動物が死亡する時点において出現頻度の上昇が認められた.以上より小核試験にもちいる動物の週齢は試験結果にほとんど影響しないことが判明した.

 

■代表論文

Sato S, Taketomi M, Nakajima M, Kitazawa M, Shimada H, Itoh S, Igarashi M, Higashikuni N, Sutou S, Sasaki YF, Hayashi Ma, Sofuni T, Higashiguchi T, Nito S, Kondo Y, Honda S, Hayashi Mi, Shinagawa Y, Nakajima E, Oka Y, Shimoi K, Hokabe Y, Morita A, Kinae N, Takeuchi M, Hirono H, Yamamura E, Tamai K. Effect of aging on spontaneous micronucleus frequencies in peripheral blood of nine mouse strains: the results of the 7th collaborative study organized by CSGMT/JEMS.MMS. Collaborative Study Group for the Micronucleus Test. Environmental Mutagen Society of Japan. Mammalian Mutagenesis Study Group. Mutat Res. 1995 Oct;338(1-6):51-57. Erratum in: Mutat Res 1996 May;316(5-6):287-8.

先頭に戻る

 

9.小核試験におけるマウスのエイジングの影響 (induced MN)

 

■代表世話人(現会員)

濱田 修一

 

■研究成果概要

マウスのエイジング2回目の共同研究として,MMC 0.5 mg/kg1か月に1回,1か月齢から18か月齢まで投与し,その48時間後に末梢血を採取して,マウスの週齢が被験物質投与時の小核誘発性にどの程度影響するかを検討した.

その結果,加齢によるMMC投与後の小核誘発率への影響は見られなかった.同時に実施した病理組織学的検査により,マウスでは18か月齢においても骨髄における脂肪変性や造血機能の低下が極めて軽度であることが判明し,これがマウス小核試験が加齢の影響を受けにくい原因の1つであると考えられた.以後の研究でラットでは加齢により小核誘発物質に対する感度が低下することが判明したが,ラットの骨髄では加齢により顕著な脂肪変性,造血機能低下がみられた.

 

■代表論文

Hamada S, Namiki C, Hashimoto A, Kukita K, Effect of aging on mouse micronucleus test results: A report of 8th collaborative study organized by the CSGMT/JEMS.MMS, MMS Commun. 4(2) (1996) 121-131.

 

業績に関するReview Paper

Sutou S. Achievements by CSGMT/JEMS.MMS: The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test in the Mammalian Mutagenesis Study Group of the Environmental Mutagen Society of Japan. Mutat Res. 1996 Jun;340(2-3):151-74.

先頭に戻る

 

10.ラットを用いる末梢血小核試験

 

■代表世話人(現会員)

若田 明裕

 

■研究成果概要

化学物質の毒性を評価する動物実験においては,ラットが主として用いられている.一方小核試験において末梢血を用いる場合は,ラットの脾臓が小核を有する赤血球を効率よく末梢血から排除することもあり,マウスが用いられていた.化学物質のハザードを多角的に評価するには,同じ種を用いて総合的に評価,解釈することが求められる.ラットの末梢血を用いてどの程度化学物質の小核誘発性を評価できるかの共同研究を行った.結果は,被験物質投与後48時間で標本を作製することによりマウスと同等の検出感度を得られることが判明した.脾臓で排除されるまでの小核を有する赤血球を観察できているものと考えられた.

 

■代表論文

Wakata A, Miyamae Y, Sato S, Suzuki T, Morita T, Asano N, Awogi T, Kondo K, Hayashi M. Evaluation of the rat micronucleus test with bone marrow and peripheral blood: summary of the 9th collaborative study by CSGMT/JEMS. MMS. Collaborative Study Group for the Micronucleus Test. Environmental Mutagen Society of Japan. Mammalian Mutagenicity Study Group. Environ Mol Mutagen. 1998;32(1):84-100.

先頭に戻る

 

11.トランスジェニック動物での遺伝毒性試験の検証 (MutaMouse) レポート

 

■代表世話人(現会員)

鈴木 孝昌(伊東 悟)

 

■研究成果概要

lacZを標的遺伝子とするMutaMouseを用いたin vivo突然変異試験に関する共同研究を行った。第1回の共同研究として、26機関が参加しENUの臓器特異的な変異原性に関して8臓器で検討した。第2回の共同研究として、5つの化合物を用い、同様に臓器特異的な突然変異誘発を調べるとともに、末梢血を用いる小核試験を用いて染色体異常誘発性を同時に評価した。成果は化合物ごとに個別論文とし、サマリーペパーと一緒にMutation Research誌に掲載した。

 

■代表論文

The Collaborative Study Group for the Micronucleus Test.  Organ variation in the mutagenicity of ethylnitrosourea in MutaMNMouse: Results of collaborative study by JEMS.MMS. Mutat Res. 1996 28: 363-375.

先頭に戻る

 

12.造血系細胞以外を用いた小核試験の開発と検証(肝、腸、皮膚、生殖器官) レポート

 

■代表世話人(現会員)

高沢 博修

 

■研究成果概要

ラット・マウスから皮膚組織をトリプシン処理と物理的細胞剥離の方法を用いることによる細胞分離を可能とし、3日間投与による皮膚小核試験を開発した。標準的な赤血球系細胞を使用する小核試験では検出できない染色体異常誘発性を有する皮膚を標的とするがん原性物質の検出が可能となった。

幼若ラットにおける自然な肝細胞分裂を利用する肝臓小核試験を開発することにより、標準的な赤血球系細胞を使用する小核試験では検出できない染色体異常誘発性を有する肝臓を標的とするがん原性物質の検出が可能となり、実験方法を最適化した。また、肝傷害性を有するが肝発がんを誘発しない物質による偽陽性を示すことなく遺伝毒性肝がん原性物質を効果的に検出可能である。

マウスに結腸がん原性物質を4日間投与し、結腸上皮細胞を分離することにより小核を有する細胞の有意な増加が確認された。

先頭に戻る

 

13.遺伝毒性試験のリスク評価

該当なし(論文なし)

先頭に戻る

 

14.4週間反復投与小核試験 レポート

 

■代表世話人(現会員)

濱田 修一

 

■研究成果概要

国際共同研究の結果,16化合物中14化合物が反復投与により,一般毒性用量でも小核を誘発することが確認され,小核試験の一般毒性試験への統合の可能性が示された.一方,反復投与により急激に致死毒性が増す2化合物(反復投与可能な用量は短期投与の10%以下)は反復投与小核試験で陰性となり,このような化合物は組込みには不向きであることが分かった.これらの研究成果は第2回遺伝毒性に関する国際ワークショップ(2nd IWGT)でトピックスとして取り上げられ,後にICH S2(R1)ガイドラインにもin vivo試験を取り入れながら動物福祉に配慮できる手法として評価され,組み込まれた.

 

■代表論文

Hamada S, Sutou S, Morita T, Wakata A, Asanami S, Hosoya S, Ozawa S, Kondo K, Nakajima M, Shimada H, Osawa K, Kondo Y, Asano N, Sato S, Tamura H, Yajima N, Marshall R, Moore C, Blakey DH, Schechtman LM, Weaver JL, Torous DK, Proudlock R, Ito S, Namiki C, Hayashi M. Evaluation of the rodent micronucleus assay by a 28-day treatment protocol: Summary of the 13th Collaborative Study by the Collaborative Study Group for the Micronucleus Test (CSGMT)/Environmental Mutagen Society of Japan (JEMS)-Mammalian Mutagenicity Study Group (MMS). Environ Mol Mutagen. 2001; 37(2): 93-110.

先頭に戻る

 

15.Toxicogenomics レポート

 

■代表世話人(現会員)

降旗 千恵(鈴木 孝昌)

 

■研究成果概要

DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析"toxicogenomics"により遺伝子傷害性発がん物質を予測するための検討を行った。8つの遺伝子傷害性肝発がん物質、4つの非遺伝子傷害性肝発がん物質、及び1つの非遺伝傷害性非肝発がん物質を用いた検討により、100個の遺伝子よりマーカー候補遺伝子を絞り込み、30の遺伝子による主成分分析(PCA)により、遺伝子傷害性の有無を区別することに成功した。さらにラットを用いた定量PCR(qPCR)PCA解析により、遺伝子傷害性肝発がん物質をそれ以外と区別することができた。

 

■代表論文

Furihata C, Watanabe T, Suzuki T, Hamada S, Nakajima M. Collaborative studies in toxicogenomics in rodent liver in JEMS・MMS; a useful application of principal component analysis on toxicogenomics. Genes Environ. 2016 Aug 1; 38:15.

先頭に戻る

 

16.遺伝毒性試験におけるIn vitro- in vivo 結果と発がん性試験結果との相関性

 

■代表世話人(現会員)

森田 健

 

■研究成果概要

Kirklandらによるin vitro遺伝毒性試験の検出性比較(CGX DB)を受け,in vivo小核試験(MN)とトランスジェニック突然変異試験(TG)の発がん物質検出性を評価した.CGX DBの齧歯類発がん物質と非発がん物質について,MNおよびTGの知見を収集し,それぞれの感受性・特異性を明らかにした.また,in vitro試験との組合わせによる検出性も評価し,Amesin vivo MNを組合せは,in vitro試験同士の組合せよりも感受性は低かったが,特異性は高いことが判明した.

 

■代表論文

Morita T, Hamada S, Masumura K, Wakata A, Maniwa J, Takasawa H, Yasunaga K, Hashizume T, Honma M. Evaluation of the sensitivity and specificity of in vivo erythrocyte micronucleus and transgenic rodent gene mutation tests to detect rodent carcinogens. Mutat Res Genet Toxicol Environ Mutagen. 2016 May; 802: 1-29.

先頭に戻る

 

17.MLAの染色体異常誘発性の検証

 

■代表世話人(現会員)

本間 正充

 

■研究成果概要

ICH-S2ガイドラインのコアバッテリーにマウスリンフォーマ試験(MLA)が染色体異常試験(CA)の代替として利用可能かどうかのバリデーション研究を行った。国内外52機関が40化学物質についてMLAを実施し、CAと比較した。その結果、CA陽性34化合物の内、MLAで陽性を示したものは20化合物であった。MLAで陰性を示した14化合物の多くは異数性誘発物質であったため、これらの物質に関しては24時間処理を行い、再検討を行った。その結果、11物質が陽性を示した。この結果からMLA24時間試験を導入することにより、CAの代替なり得ると結論した。この研究の成果は、ICH-S2(R1)OECD-TG490ガイドラインの制定に貢献した。

先頭に戻る

 

18.ヒト細胞を用いた試験の開発と検証

 

■代表世話人(現会員)

本間 正充

 

■研究成果概要

ヒトTK6細胞と、そのp53変異株WTK-1を用いて、主として、エームス試験陰性、染色体異常試験・MLA陽性を示す14種の化学物質について、TK突然変異試験、小核試験を実施した。小核試験の結果は、TK6WTK-1とも陽性を示し、大きな差は認められなかったが、TK突然変異試験では、異数性誘発物質等の非変異原性物質が陰性を示した。このことは、TK6細胞によるTK 突然変異試験をバッテリー試験に利用することにより偽陽性を減らすことができることを示している。本研究の成果は、OECDガイドラインにおけるin vitro試験でのヒト細胞、p53正常細胞の利用の推奨、TG490ガイドラインの策定に貢献した。

 

■代表論文

Honma M, Hayashi M. Comparison of in vitro micronucleus and gene mutation assay results for p53-competent versus p53-deficient human lymphoblastoid cells. Environ Mol Mutagen. 2011 Jun; 52(5): 373-384.

先頭に戻る

 

19.Comet Assay の検証 国際共同研究の実施 レポート

 

■代表世話人(現会員)

宇野 芳文

 

■研究成果概要

In vivoげっ歯類アルカリコメットアッセイの国際バリデーション研究が2006年にJaCVAM主導で開始され,MMS研究会も協力した.種々の検討を経て標準化されたプロトコールと,それを用いて7か国14機関で40種類の被験物質を盲検下で評価した際の良好な成績は,OECDテストガイドラインTG48920149月発行)の制定に大きく貢献した.

 

■代表論文

Nakajima M, Ueda M, Yamakage K, Nakagawa Y, Nakagawa M, Ohyama W, Omori T, Asano N, Hayashi M, Uno Y. Tissue sample preparation for in vivo rodent alkaline comet assay. Genes Environ. 2012; 34: 50-54.

先頭に戻る

 

20.成熟ラットを用いた反復投与肝臓及び消化管小核試験法の検討 レポート

 

■代表世話人(現会員)

濱田 修一

 

■研究成果概要

国際共同研究の結果,16化合物中14化合物が反復投与により,一般毒性用量でも小核を誘発することが確認され,小核試験の一般毒性試験への統合の可能性が示された.一方,反復投与により急激に致死毒性が増す2化合物(反復投与可能な用量は短期投与の10%以下)は反復投与小核試験で陰性となり,このような化合物は組込みには不向きであることが分かった.これらの研究成果は第2回遺伝毒性に関する国際ワークショップ(2nd IWGT)でトピックスとして取り上げられ,後にICH S2(R1)ガイドラインにもin vivo試験を取り入れながら動物福祉に配慮できる手法として評価され,組み込まれた.

 

■代表論文

Hamada S, Ohyama W, Takashima R, Shimada K, Matsumoto K, Kawakami S, Uno F, Sui H, Shimada Y, Imamura T, Matsumura S, Sanada H, Inoue K, Muto S, Ogawa I, Hayashi A, Takayanagi T, Ogiwara Y, Maeda A, Okada E, Terashima Y, Takasawa H, Narumi K, Wako Y, Kawasako K, Sano M, Ohashi N, Morita T, Kojima H, Honma M, Hayashi M. Evaluation of the repeated-dose liver and gastrointestinal tract micronucleus assays with 22 chemicals using young adult rats: summary of the collaborative study by the Collaborative Study Group for the Micronucleus Test (CSGMT)/The Japanese Environmental Mutagen Society (JEMS) - Mammalian Mutagenicity Study Group (MMS). Mutat Res Genet Toxicol Environ Mutagen. 2015 Mar; 780-781: 2-17.

先頭に戻る

 

21.Pig-aアッセイ レポート

 

■代表世話人(現会員)

堀端 克良(木本 崇文)

 

■研究成果概要

試験法の技術共有化は国立衛研が中心となり,合計16機関が参画した.まず全赤血球を標的としたPig-aアッセイ及びPIGRET法について参加機関での試験機関差検証を行い,十分な技術共有化が達成できていることを確認した.続いて日本で開発されたPIGRET法の有用性について検証した.実際に遺伝毒性物質・非遺伝毒性物質からなる24化合物についてラットに単回投与した後,経日的に末梢血を採取してPig-a変異体頻度を評価した結果,PIGRET法は全赤血球を標的としたPig-aアッセイよりも早期にPig-a変異頻度の増加を検出可能であることを立証した.以上の検討成果はMutation Research誌(Volume 811, 15 November 2016)にMMS研究会によるPig-aアッセイ/ PIGRET法に関する特集号として収載されている.Pig-aアッセイについては現在OECD試験ガイドライン化に向けた取り組みが米国を中心に進められている.試験ガイドライン化にあたっては本共同研究成果も大きく寄与しており,MMS研究会会員からワーキンググループにも参画中である.

 

■代表論文

Kimoto T, Horibata K, Miura D, Chikura S, Okada Y, Ukai A, Itoh S, Nakayama S, Sanada H, Koyama N, Muto S, Uno Y, Yamamoto M, Suzuki Y, Fukuda T, Goto K, Wada K, Kyoya T, Shigano M, Takasawa H, Hamada S, Adachi H, Uematsu Y, Tsutsumi E, Hori H, Kikuzuki R, Ogiwara Y, Yoshida I, Maeda A, Narumi K, Fujiishi Y, Morita T, Yamada M, Honma M. The PIGRET assay, a method for measuring Pig-a gene mutation in reticulocytes, is reliable as a short-term in vivo genotoxicity test: Summary of the MMS/JEMS-collaborative study across 16 laboratories using 24 chemicals. Mutat Res. 2016 Nov 15; 811: 3-15.

先頭に戻る

 

22.In silico関連

本間 正充

 

■研究成果概要

Kirklandらによるin vitro遺伝毒性試験データベースにCGX DBin vivo小核試験(MN)とトランスジェニック突然変異試験(TG)のデータを加えたデータベースを完成させた(Morita et al., 2016)。これをQSARベンダーである英国・ラーサ社と、ブルガリア・ブルガス大学に提供した。ラーサ社はこのデータベースからin vivo小核試験予測のための構造アラートの開発を行った。また、ブルガス大学は、化学物質の発がん性をin vitroからin vivoまでの試験データを基に、パイプライン方式で評価するインテグレーテッドアプローチを開発した。

 

■代表論文

1) Canipa S, Cayley A, Drewe WC, Williams RV, Hamada S, Hirose A, Honma M, Morita T. Using in vitro structural alerts for chromosome damage to predict in vivo activity and direct future testing, Mutagenesis, 1-9, 2015.

2) Petko I. Petkov, Terry W. Schultz, E. Maria Donner, Masamitsu Honma, Takeshi Morita, Shuichi Hamada, AkihiroWakata, Masayuki Mishima, Jiro Maniwa, Milen Todorov, Elena Kaloyanova, Stefan Kotov, Ovanes G. Mekenyan, Integrated Approach to Testing and Assessment for Predicting Rodent Genotoxic Carcinogenicity, Journal of Applied Toxicology, 32, 1536-1550, 2016.

先頭に戻る